急性中耳炎
原因
一般的に中耳炎と呼ばれるものは、この急性中耳炎のことです。80%の子どもたちが、一度はかかると言われる代表的な中耳炎です。かぜをひいた時に、鼻やのどにいる細菌やウイルスが耳管を通して中耳に入り、炎症を起こす病気です。耳の外から水や菌が入って急性中耳炎になることはまれです。
(よってプールやお風呂の水が耳に入っても心配ありません)
乳幼児は、大人と違い耳管が太くて短く水平なために、細菌やウイルスが中耳に入りやすく、また免疫も未熟なため急性中耳炎になりやすいのです。
症状
耳の痛み、発熱、耳だれなどがあります。乳幼児は耳を痛いと訴えることができず、耳を触ったり、いつも以上に泣いたり、不機嫌になったりすることもあります。
耳の痛みは1日で治まることが多いのですが、多くの場合中耳の炎症は2週間以上続きます。この時子どもは症状を訴えません。中耳炎による発熱も3日以上続くことはまれです。急性の炎症が治まっても、滲出性中耳炎に移行していくこともあります。この場合は軽い難聴が持続します。
したがって、耳痛などの自覚症状の訴えがなくても、完治するまで通院することが大切です。
治療
鼻やのどのかぜが原因ですので、鼻やのどの治療も同時に行います。完全に治るまでに2週間以上かかることが多く、その間は診察・処置・お薬が必要になります。
お薬は中耳炎とかぜ症状の重症度に応じて使い分けます。乳幼児は免疫が未熟ですので、抗生物質を増量することが多くなります。保育園などの集団保育を受けているお子さんは中耳炎を繰り返すことが多く、反復性中耳炎と呼び、同様に抗生物質の投与が多くなったり、飲みやすい漢方薬を併用します。一般的には、2歳を超えると免疫力上がり、急性中耳炎の反復は減少する傾向にあると言われています。
鼻処置について
鼻処置は鼻咽腔の細菌を減らす意味で大切な治療です。中耳炎を早く治癒させることにつながります。当院ではなるべくしっかり、鼻の中の膿を吸うように特殊な吸引器具を使っております。小さなお子さんの鼻吸引はご自宅でもお勧めします。鼻汁の多い時はこまめに吸ってあげてください。
鼓膜切開について
有効な抗生物質があまりない30年以上前に、鼓膜切開は頻回に行われていましたが、現在では急性中耳炎だからといって、すぐに切開を行う事は多くありません。
ただ抗生剤の効果が認められない場合や発熱が続く場合は、必要となります。
2歳以下で急性中耳炎を繰り返す反復性中耳炎や通常の治療をしても治らない難治性中耳炎の場合は鼓膜に小さなチューブを入れて、膿を溜まらなくすることがあります。
当院で対応できる症例は局所麻酔で行いますが、難しい症例は基幹病院を紹介して、全身麻酔で行っていただきます。
監修者情報
こだま耳鼻科クリニック 院長 児玉 将隆
2000年2月に愛知県瀬戸市にこだま耳鼻科クリニックを開業。地域のニーズに的確に応える医療を目指し、耳鼻科医として20年以上診療を行っている。開業前には名古屋市立大学病院、豊田厚生病院(旧:加茂病院)にて勤務し、研鑽を積む。日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本気管食道科学会認定専門医、日本旅行医学会認定医。