スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎がひどい方へ
スギ花粉症は国民の約3分の1が発症する国民病です。2014年10月に発売されたスギ花粉症の舌下免疫療法は根本的な治療として期待され、内服薬やレーザー治療など今までさまざまな治療を行ってきた患者さまに関しても有効率70%という結果が出ています。また、内服薬などの減量中止も期待できます。
検査・治療は健康保険の適用があり、2015年12月にはダニによるアレルギー性鼻炎の免疫療法も開始されました。当院では、舌下免疫療法がスギ・ダニのアレルギー性鼻炎治療のメインとなっており、現在継続治療中の方は500例を超えます(2023年8月1日時点)。
舌下免疫療法とは
スギ花粉エキスやダニの抗原を少しずつ体内に吸収させることによって、アレルギーの症状(アレルギー反応)を抑える治療法です。1日1回、少量から服用をはじめ、1週間かけて増量し、その後は決まった量を数年にわたり継続して服用します。
無味無臭の錠剤で、唾液で溶けてしまいますので、1分間舌の下においておくだけです。1日目の服用は副作用等の有無を見るために院内で行います。内服後30分間院内にいていただいて、副作用の有無をチェックします。初回は時間に余裕のある時に行います。
2日目以降は自宅で服用します。継続的な治療で効果を発揮していくため、花粉飛散シーズン以外も含めて最低2年間治療を行います。効果のある患者さまには3~5年の治療継続をお勧めします。症状などが安定すれば通院は4週間に1度程度となります。
治療費用について
健康保険が適応し、初回は検査などを含めて3割負担の場合、4,000~5,000円。その後の通院費用は他の治療や薬の処方がなければ、薬代と合わせて1カ月あたり2,000~3,000円となります。
治療の対象者
スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎のある5歳以上の方が対象です。まず、血液検査でスギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎であるか調べます(過去の採血データがあればご持参ください)。重度の気管支喘息、がん、免疫系の病気などがある方は治療できません。詳しくは医師にお尋ねください。
治療の流れ
舌下免疫療法の治療は下記ステップにて行います。
受診+アレルギー検査
鼻水やくしゃみなどアレルギー症状のある方に診察と血液検査でのアレルギー検査を行います。
アレルギー検査検査の結果が出るまでに1週間程度かかります。
アレルギー症状を和らげる抗アレルギー薬の処方も行います。
アレルギー検査結果+
舌下免疫療法の予約
1回目の受診から1週間経過以降に受診いただき、検査結果をお伝えいたします。検査の結果、スギ花粉またはダニにアレルギー反応が見られる場合は舌下免疫療法の適用となりますので、ご希望の場合は受付でご予約を取ってご帰宅ください。当院からご案内した方に限りお電話にて専用のご予約をお取りいたします。
初回の服薬については、院内で滞在いただく必要があるため同日の開始はできません。
舌下免疫療法の説明動画+治療開始
初回の服薬を開始します。安全に治療を進めるために、事前動画を視聴いただき、同意書に署名していただきます。当日はお薬を服用した後、副反応が無いか確認する必要があります。診察と服薬後の経過観察のため、45分~60分程度お時間を要しますので、午前は9:00~11:30、午後は15:30~17:00の間で予約を取ってからご来院ください。
まずは1週間分のお薬を処方しますので、毎日欠かさずに服用して様子を見ていきます。
上記時間外での診察では舌下免疫療法の初回服薬は行っておりませんので、ご了承ください。
舌下免疫療法の継続確認
初回のお薬を1週間ほど服用して慣れてきたら、濃度の高いお薬に変更していきます。段階的に薬の成分を濃くしていくことで、安全な治療継続につながります。
2週間分のお薬を処方しますので、引き続き毎日服用して様子を見てください。
継続確認時は予約のお時間は問いません。ご希望のお時間で予約を取ってご来院ください。
舌下免疫療法の継続
2週間服用して問題なければ、1か月処方にして継続して治療していきます。1か月ごとに通院いただき、異常が見られないか、薬が服用できていない場合には習慣作りをどうするかなど相談しながら治療していきます。舌下免疫療法と合わせて、抗アレルギー薬や吸入薬を使用することで、症状や副作用の不快感を和らげることもできます。
副作用について
口の中に投与するため、口の中やのど、耳にかゆみが出ることがあります。報告されている主な副作用に、非常にまれですが、アナフィラキシーショック(じんましんや腹痛、嘔吐、呼吸困難、意識混濁)があります。そのため1回目の投与は安全のために院内で行います。
なぜ耳鼻咽喉科で行うのか
内科クリニックでも舌下免疫療法を行うところは増えていますが、鼻の中を診ることはできません。実際、アレルギー性鼻炎に、ポリープや副鼻腔炎などを合併するケースは多く見られ、採血データだけでなく、定期的に鼻内をしっかり診察することはとても大切です。舌下免疫療法で治療中でも、アレルギー性鼻炎以外の症状が原因で鼻閉が続いていることもあります。症状に合わせて鼻内を診察しますので、お気軽にご相談ください。詳しくは舌下免疫専門サイトをご覧ください。