スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎がひどい方へ
スギ花粉症は国民の約3分の1が発症する国民病です。2014年10月に発売されたスギ花粉症の舌下免疫療法は根本的な治療として期待され、内服薬やレーザー治療など今までさまざまな治療を行ってきた患者さまに関しても有効率70%という結果が出ています。また、内服薬などの減量中止も期待できます。
検査・治療は健康保険の適用があり、2015年12月にはダニによるアレルギー性鼻炎の免疫療法も開始されました。当院では、舌下免疫療法がスギ・ダニのアレルギー性鼻炎治療のメインとなっており、現在継続治療中の方は300例を超えます(2020年6月1日時点)。
舌下免疫療法とは
スギ花粉エキスやダニの抗原を少しずつ体内に吸収させることによって、アレルギーの症状(アレルギー反応)を抑える治療法です。1日1回、少量から服用をはじめ、1週間かけて増量し、その後は決まった量を数年にわたり継続して服用します。
無味無臭の錠剤で、唾液で溶けてしまいますので、1分間舌の下においておくだけです。1日目の服用は副作用等の有無を見るために院内で行います。内服後30分間院内にいていただいて、副作用の有無をチェックします。初回は時間に余裕のある時に行います。
2日目以降は自宅で服用します。継続的な治療で効果を発揮していくため、花粉飛散シーズン以外も含めて最低2年間治療を行います。効果のある患者さまには3~5年の治療継続をお勧めします。症状などが安定すれば通院は4週間に1度程度となります。
治療費用について
健康保険が適応し、初回は検査などを含めて3割負担の場合、4,000~5,000円。その後の通院費用は他の治療や薬の処方がなければ、薬代と合わせて1カ月あたり2,000~3,000円となります。
治療の対象者
スギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎のある5歳以上の方が対象です。まず、血液検査でスギ花粉症やダニのアレルギー性鼻炎であるか調べます(過去の採血データがあればご持参ください)。重度の気管支喘息、がん、免疫系の病気などがある方は治療できません。詳しくは医師にお尋ねください。
副作用について
口の中に投与するため、口の中やのど、耳にかゆみが出ることがあります。報告されている主な副作用に、非常にまれですが、アナフィラキシーショック(じんましんや腹痛、嘔吐、呼吸困難、意識混濁)があります。そのため1回目の投与は安全のために院内で行います。
なぜ耳鼻咽喉科で行うのか
内科クリニックでも舌下免疫療法を行うところは増えていますが、鼻の中を診ることはできません。実際、アレルギー性鼻炎に、ポリープや副鼻腔炎などを合併するケースは多く見られ、採血データだけでなく、定期的に鼻内をしっかり診察することはとても大切です。舌下免疫療法で治療中でも、アレルギー性鼻炎以外の症状が原因で鼻閉が続いていることもあります。症状に合わせて鼻内を診察しますので、お気軽にご相談ください。詳しくは舌下免疫専門サイトをご覧ください。